包
旦那様から預かった1本目のプラチナの指輪。
その中には経験、記憶、感触、イイもワルイも詰まっていた。
なんでもかんでもスクラップアンドビルドする日本人の
風潮はどうも性に合わない。
僕に依頼をくださるまでこの指輪が残っていたということは
きっとそういうことなんだろうと進む方向が決まった。
1から指輪を作るのではなくこれを活かす。
そして過去とこらから先を含めた現在を
「対比」させるのではなく指輪の中に「共存」させたいと思った。
奥様は甘いものも苦いものもすっぱいものも辛いものも
すべて包み込んでしまうような心の大きな方でしたので
すべてまるっと包み込んでもらおうと考え、奥様の指輪
(ゴールド)で旦那様の指輪を包み込むようなデザインにした。
将来たこ焼き屋をやりたいとおっしゃっていたご主人の為に
たこ焼きのようなふんわり感を探りながら。
奥様は生地、旦那様は蛸、みたいな。
たこ焼きも指輪も火を入れながらまぁるくしていくという
意味では同じプロセスをふむ。
ジュエリーはもはや粉もんです。
末永くお幸せにー
Pt900,833yg
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