

糸 vol.4
「糸」がテーマの指輪を気に入ってくださりご連絡いただいた。 打ち合わせに来てくださった奥様のおなかには 赤ちゃんがいて、この子の名前をイトにしようと 思ってるんですと。 漢数字の一と十で『一十(いと)』ちゃん。 なんということでしょう。 始まりから終わりまでという指輪の テーマにぴったりの名前だ。 打ち合わせの最中ふとアルファベットで 名前を書いてみたら… 『 Ito 』 プラスとマイナスとゼロ… なんということでしょう。 漢字で書いてもアルファベットで書いても プラスマイナスが隠れてることに気づいて 3人で顔を見合わせた。ミラクルっすね。 +− =0 プラスマイナスイコールゼロ 【糸】 なんの因果か人間同士は 縁で出来ている。 絆で結ばれ 紡ぎ 繕い 綴り 織り合い 続いていく。 単紙、線を成さず。 へその緒につないでもらった時が命の始まり。 緒(いとぐち)とは始まりの意味である。 そして命が尽きるときが 終わり。 始まりと終わりは ちゃんと「糸」で 繋がってる。 人生は糸でできてる。 そんなふうに思う。 末永くおしあわせにー! Pt950,純


new moon , full moon
ずっと新月と満月を指輪にしてみたかった。 そのテーマにおふたりはぴったりだった。 世の中よくわからないことだらけで 頭が追いつかない。 難しいことは分からないし、 簡単なことはもっと分からない。 満ちては欠けて満ちては欠けて 地球で色んなことがおこっているこの瞬間も 迷いなく神様が決めた法則に従う。 そんな存在があることに人は救われる。 昔ある音楽家が言った一言を思い出す。 「愛する人ができると月の動く音が聴こえる」 それは満月のスポットライトの下で ふたりだけが聴くことを許されたセレナーデ。 末永くお幸せにー! Pt950,K18yg


LESS IS MORE
普段作ってる作品とは別ですが
結婚指輪のデザインに関して言えば
LESS IS MOREの精神は切っても切れない関係だと思う
日本には長らく装身具を身につける文化はなく
指輪や首飾り、耳飾りを日常的に付けるように
なったのは明治以降ヨーロッパの文化が入って
きてからであって、一般人が結婚指輪をつける
という文化が定着したのは100年にも満たない
ただ、僕は結婚指輪をデザインさせたら
日本人が一番向いていると思っている
日本文化、意匠の根底に流れている
引く美しさ、間の美しさ、侘びと寂びなどの
精神はとても相性が良い
日本人は有限の中に無限の世界を創り出すことに
長けている民族で、その有限の制約が小さければ
小さいほど、狭ければ狭いほど大きな宇宙を創る
例えば
俳句の十七文字の中に
茶室の小さな部屋の中に
能の無表情な能面の中に
落語の座布団一枚の上に
だから指輪という有限はまだまだ可能性を秘めているし
もっと深掘りできる余地がある
打ち合わせの中で「見えない存在感」という言葉を
くださいました。ペリドットとダイアモンドは
おふたりの