

質朴
指が通れば指輪なんだから好きにやれば良いのよと その昔ファンキーなデザイナーに言われた一言は ピュアな17才の青年の心に響いた。 それから14年が経ち、壮年となった今でもデザインを 思考ながらその一言を思い出す。 心はまだまだピュアな青年(のはず)だ。 すべからく、入り口と出口があることが 指輪の基本形状で、その最少条件を 満たしていればあとはなんでもいい。 装飾は有ってもいいし、無くてもいい。 この度ご依頼いただいたおふたりは 陰日向なくとても質朴な印象をくださいました。 そしておふたりのこれからを指し示す 光の筋のような指輪が生まれた。 末永くお幸せにー! K18 yellow gold


身体と精神
この度は柔道家のご夫婦よりご依頼いただいた。プロとしてご活躍されてる方が身近にいないので興味津々。 相手と組み合ってるときの感覚やスポーツとは違う柔道特有の精神なんかを丁寧に教えていただいた。 (気分はNumberの記者) 【身体と精神】 まとめてまとめてテーマはこれになった。 相手と組んだ瞬間に感覚的にこいつには勝てると思うのは身体が受け取った情報が精神に伝わって、またその逆の現象もおこる。 一試合で身体と精神のやりとりが何千回、何万回おこなわれているかはわかりませんが、そのやりとりがより自然に出来る様になる=上達するってことなのかなと思う。 学生の頃、文武両道とセンセによく言われ勉強もスポーツも頑張れって意味でしかとらえておりませんでしたが、文(脳つまり精神)武(身体)の両道はスポーツに打ち込んでいる人なら、身体の中ですでに文武両道がおこなわれているんですよね。 つまり精神と身体は常に絶妙に絡み合っていて相互関係にあるんだなと再認識。 ちょいと話は変わって、、 打ち合わせの時、旦那様がインディアンジュエリーが好きとのことでそのテイストもデザイ


touch the kindness
互いの優しさにふれる。 そのお二人の持っている優しさの手触りを どうしたら形にできるか。 冷たくて無機質な金属だからこそほしいのは温度。 小さくて制限された形だからこそほしいのは愛嬌。 コンマ数ミリ単位で削っていくことによって 見えてくる「らしさ」 お二人の優しさを具体化したような 愛嬌のある指輪に仕上がってくれたのでうれしい。 奥様の指輪にはダイアをひとつぶ。 末永くおしあわせにー! Pt950,diamond


地球の表層
僕らは地球の表層で生きている。 人間で言うところの皮膚のうす皮一枚の 上でおこっている出来事。 地殻は地球の内部マントルへ運び込まれ また火山によって地表へ戻ってくる。 人間の時間軸で考えられないほどの 時間をかけて循環し、深層の記憶と 答えは確かにこの石に刻まれている。 今回の指輪はボルダリングをされていて たまに山へも登りに行くという仲良し ご夫婦からのご依頼でした。 山で石を拾ってきてくださいとお願いし 京都は笠置町、別名石の国にて ビビッとくる石を拾って来ていただき その石を眺めながらあれやこれやと 想像を巡らしました。 人間としての最大の贅沢は想像力を もらったことだと思う。 時間も大きさも形も、想像力を使って 自由自在にあやつれ、水溜りをとびこえる くらい簡単に現実をこえられる。 だからそれを使わないのはもったいない。 今回のデザインは地球をギューっと指輪の サイズまで縮小して輪切りにしたような イメージが浮かび、指輪の表面はこの地球 から借りた石からかたどりました。 地球の一部から生まれた指輪を薬指にはめる。 指輪の下を流れる真っ赤