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face to face




今回の打ち合わせは筆談で行った。


私達は耳が聴こえませんと事前に丁寧な文章で


メールをいただいていた。



その昔モロッコの砂漠の中で一泊したことがある。


夜中、冴えざえとした月が綺麗で寝るのがもったいなく


砂の上で大の字になってぼーっとしていた。



まわりに町もなければ、水、電気、動植物もいない。


その日はまったく風のない日だったので


生まれて初めて絶対的な無音を経験した。



初めて経験する絶対的無音に脳が慄いたのか


耳が勝手に音を探しだすのがわかった。


そして唯一耳が拾った音、


それは自分の心臓が脈打つ音だった。


なんなら血の流れる音も聞こえた気がした。



今思えば音というより体内に響く振動のようなものだった


のかもしれないけど、とても不思議な体験だった。



そんな古い記憶が甦りながら


部屋の中にカツカツとペンの走る音と


おふたりがクスクスと笑う音が心地よく響いた。



おふたりは声が聞こえない分必ず顔と顔を見ながら話し、


目の動きや顔の表情でより細かいニュアンスを伝えることが


とても大事だとおっしゃっていた。



そして、私達にとってそれが当たり前だから


他の人達が顔を見ずに会話しているのを見ると


少し寂しい気持ちになると。



その話が印象的で今回の指輪は


顔が向かい合わさるようデザインした。


旦那様には奥様のシルエットを


奥様には旦那様のシルエットをいれた。



僕含めてほとんどの人は手話がわからない、


つまり会話はふたりにしか分からない。


この指輪も、身につけているところを他の人が見れば


何の変哲もない普通の指輪にしかみえないが、


内側に顔をあしらうことによりおふたりだけに通じる


シークレットコンセプトのような構造になっている。



末永くお幸せにー!






Pt950,750YG

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